先日、映画「マチネの終わりに」を見てきました。
石田ゆり子さんの大ファンだということもあり、また、少し前に原作の小説も読んでいたので、絶対に見に行こうと心に決めていた映画でした。
この映画の宣伝では「大人のラブストーリー」といったフレーズが頻繁に用いられていたようで、たしかに大人のラブストーリーのエッセンスもあるのですが、でもただそれだけではなく、自分がこの人生で何をなすべきなのか、正直に、誠実に生きるとはどういうことなのか、など、考えさせられる要素がたくさん詰まった作品だと思いました。
その要素のうちのひとつとして「未来が過去を変える」というテーマがあり、それが私の心にとても響きました。
次のセリフは、主人公蒔野聡史のセリフです。
「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
実は私も実際「過去が変わる」という体験をしたことがあります。
それは、心のことを勉強するようになってからです。
私が通っていた「心屋塾」では過去を振り返るワークを山ほどしたのですが、「両親にインタビューをしてくる」という宿題を出されたことがありました。
父親に一問一答式のインタビューをしていたときに、それまで私が知っていた私の歴史、我が家の歴史と全く違った景色が見えてくる、という不思議な体験をしたのです。
それまで私は、父は「真面目な人」「外でしっかり働く人」「我が家のことは関心が薄く、形が整っていればそれでよしと考えている人」と思っていましたし、そういうストーリーで我が家の歴史を私なりに心に描いていました。
ところが、父の話を聞くうちに、父がいかに大きく、深い愛情を持って私たち家族を思っていたのかがわかり、驚きと同時になんとも温かい気持ちに包まれたのでした。
このインタビューの経験から、私自身の、そして我が家の歴史が、それまで思っていたのとは全く違うものになってしまったのです。
冷たくされたと思っていたけれど、あれも愛だったのか。
信頼されていないと思っていたけれど、あれも愛だったのか。
反対されたのは、愛からだったのか。
そんな風にひとつひとつの出来事の意味付けを変えると、過去の景色が全く違うものになる、ということがわかったのです。
人が変えられるのは未来と自分だけ
とはよく言われることですが、実は過去さえも変えられるのだ、ということを知ったことで、私の世界観がぐんと広がったように感じます。
「マチネの終わりに」からだいぶ話がそれてしまいましたが、この作品は、それだけ人生のテーマについてあれこれ考えるきっかけを与えてくれる作品だということなのです。
キャストの女優さん俳優さんが美しく、音楽が美しく、街の景色が美しく、とても素敵な映画、ぜひおすすめしたいと思います。
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